住宅ローンを組む前に知っておくべき金利の種類
マイホームを買うとき、ほとんどの人が住宅ローンを組みますよね。でも「金利って何%か」は気にしても、「金利のタイプ」まで深く考えている人は意外と少ないんです。
実はこれ、めちゃくちゃ重要。同じ金額を借りても、選ぶ金利タイプによって最終的な返済総額が数百万円も変わることがあります。
例えば、3,000万円を35年で借りたとしましょう。金利が0.5%違うだけで、総返済額は約300万円も差が出ます。金利1%なら約3,556万円、金利1.5%なら約3,858万円。たった0.5%の差なのに、新車が買えちゃうくらいの金額が変わるわけです。だからこそ、金利タイプの選択は慎重になる必要があります。
金利には大きく分けて3つのタイプがある
住宅ローンの金利は、「変動金利型」「固定金利期間選択型」「全期間固定金利型」の3種類に分かれます。それぞれに一長一短があって、どれが絶対的に正解ってわけじゃないんです。
自分のライフスタイルやリスクへの考え方によって、ベストな選択は変わります。
| 金利タイプ | 特徴 | 金利水準 |
|---|---|---|
| 変動金利型 | 半年ごとに金利が見直される | 低い(0.3%台~) |
| 固定金利期間選択型 | 一定期間だけ金利を固定 | 中間(0.5%~2%程度) |
| 全期間固定金利型 | 完済まで金利が変わらない | 高い(1%台後半~) |
基本的に、リスクを取れば金利は低くなり、安定を求めれば金利は高くなる構造になっています。
変動金利が一番低金利なのは、将来金利が上がるリスクを借り手が負うから。全期間固定が高めなのは、金利上昇リスクを銀行側が背負うからです。
3つの金利タイプを徹底比較
それぞれの金利タイプについて、もう少し詳しく見ていきましょう。メリットとデメリットを理解すれば、自分に合ったタイプが見えてきます。
変動金利型は低金利が魅力だけど…
変動金利型は、現在の日本で最も低い金利水準を享受できます。ネット銀行なら0.3%台から借りられることも。月々の返済額を抑えたい人には魅力的ですよね。
金利は半年ごとに見直されますが、返済額の変更は5年に1度。さらに、仮に金利が上がっても前回の返済額の1.25倍までしか上がらない「125%ルール」があります。
- メリット:金利が低いので初期の返済負担が軽い、金利が下がればさらにお得
- デメリット:金利上昇リスクがある、将来の返済額が確定しない
- 向いている人:若くて収入増が見込める、繰上返済を積極的にする予定の人
ただし、125%ルールには落とし穴もあります。返済額が抑えられても、金利分だけは確実に増えるので、元本がなかなか減らない「未払い利息」が発生する可能性があるんです。
金利が急上昇した場合、返済しているつもりが元本が全然減っていない……なんて事態もあり得ます。
固定金利期間選択型は中間的な選択肢
「3年固定」「10年固定」などと期間を決めて、その間だけ金利を固定するタイプ。期間終了後は、その時点の金利で再び固定するか、変動金利に切り替えるか選べます。
変動と全期間固定のいいとこ取りを狙った商品ですね。
- 当初の固定期間中は返済額が確定して安心
- 子どもの教育費がかかる時期だけ固定にする、などの使い方ができる
- 固定期間が終わった後、その時の金利情勢に応じて再選択できる
デメリットは、固定期間が終わった後の金利が読めないこと。「とりあえず10年固定で」と選んだものの、10年後に金利が跳ね上がっていたら結局負担が増えます。
固定期間終了後に何もアクションを起こさないと、自動的に変動金利に移行する場合が多いので、放置は禁物です。
全期間固定金利型は安心の代表格
借りた時点から完済までずっと金利が変わらないタイプ。代表的なのがフラット35です。住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供している商品で、最長35年間金利が固定されます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 返済計画が立てやすい | 当初の金利が高め |
| 金利上昇の不安がない | 金利が下がっても恩恵を受けられない |
| 家計管理がシンプル | 借入時の審査が若干厳しめ |
全期間固定は「保険」のようなものです。金利上昇リスクというコストを、最初から少し高めの金利で払っているイメージ。将来何があっても返済額は変わらないので、計画的にお金を管理したい人、金利変動に一喜一憂したくない人には最適です。
自分に合った金利タイプの選び方
結局、どれを選べばいいの?って話になりますよね。正直、未来の金利を正確に予測できる人はいません。だから「自分がどれだけリスクを取れるか」で判断するのが現実的です。
年齢とライフステージで考える
20代~30代前半で、これから収入が増える見込みがあるなら、変動金利で低い返済額からスタートするのもアリ。多少金利が上がっても、収入増でカバーできる可能性があるからです。
逆に、40代以降で収入がほぼ固まっているなら、予測可能な全期間固定の方が安心かもしれません。
貯蓄と繰上返済の予定で判断
手元に十分な貯蓄があって、積極的に繰上返済できる人は変動金利がお得。低い金利でどんどん元本を減らせば、金利上昇の影響を最小限に抑えられます。
一方、貯蓄に余裕がなく、毎月ギリギリの返済になりそうなら、全期間固定で安定を取るべきです。
- 貯蓄が十分+繰上返済の予定あり → 変動金利
- 子どもの教育費が今後10年かかる → 10年固定
- 返済額を確定させたい+金利変動が怖い → 全期間固定
- 迷ったら → ミックスローン(変動と固定を半々で組む)
最近は「ミックスローン」という選択肢も人気です。例えば、3,000万円のうち2,000万円を変動、1,000万円を固定で組むみたいな感じ。リスク分散しつつ、低金利のメリットも享受できます。ただし、2つのローンを同時に組むので手数料が2倍かかることもあるので注意が必要です。
住宅ローンは人生で最も大きな借金。だからこそ、金利タイプの選択は慎重に。複数の金融機関で見積もりを取って、自分の収入やライフプランと照らし合わせながら、納得できる選択をしてくださいね。