年末調整と確定申告の違いを理解しよう

毎年この時期になると「年末調整の書類が来た」とか「確定申告しなきゃ」という声を聞きますよね。どちらも税金に関わる手続きなんですけど、実際のところ違いがよく分からないという人も多いんじゃないでしょうか。

年末調整と確定申告の基本的な違い

年末調整も確定申告も、所得税を正しく計算して納めるという目的は同じです。でも、誰が手続きするのか、どの所得を対象にするのかが全然違うんですよね。

年末調整は会社が代わりにやってくれる

年末調整って、毎月の給料から天引きされた所得税の過不足を調整する手続きなんです。

会社員やアルバイト・パートの人は、毎月「だいたいこのくらいだろう」という概算で税金が引かれていて、1年が終わったときに「取りすぎてた」とか「ちょっと足りなかった」というズレを会社が調整してくれます。対象は給与所得だけで、10月から翌年1月にかけて行われることが多いですね。

確定申告は自分で税務署に申告する

確定申告は自分で手続きする必要があります。個人事業主やフリーランスの人が、1年間の収入や経費を計算して、翌年2月16日から3月15日の間に税務署に申告するんです。

年末調整と違って、給与所得以外のすべての所得(事業所得、不動産所得、雑所得など)が対象になるので、範囲がめちゃくちゃ広いんですよね。

主な違いを整理してみよう

項目 年末調整 確定申告
手続きする人 勤務先の会社 納税者本人
対象者 会社員・パート・アルバイト 個人事業主・フリーランス・一部の会社員
対象の所得 給与所得のみ すべての所得
実施時期 10月~翌年1月頃 翌年2月16日~3月15日

会社員でも確定申告が必要になるケース

「自分は会社員だから年末調整だけで大丈夫」と思っている人、ちょっと待ってください。実は会社員でも確定申告が必要になる場面があるんです。

副業収入が20万円を超える場合

副業でアルバイトをしていたり、ブログやYouTubeで収入があったりする場合は要注意です。給与以外の所得が年間20万円を超えると、年末調整をしていても確定申告が必要になります。

最近は副業が当たり前になってきたので、該当する人も増えているんじゃないでしょうか。

年収2,000万円超または複数の勤務先がある場合

年間の給与収入が2,000万円を超える人は、そもそも年末調整の対象外です。

また、本業と副業のアルバイトなど、複数の会社から給与を受け取っている人で、年末調整しなかった給与所得が20万円を超える場合も確定申告が必要になります。

確定申告でしか使えない控除がある

年末調整でも確定申告でも「所得控除」という仕組みがあって、一定の金額を所得から差し引けます。でも実は、確定申告でしか使えない控除があるんですよね。

医療費控除で税金が戻ってくる

1年間に支払った医療費が一定額(通常は10万円)を超えた場合に使える控除です。家族の医療費も合算できるので、病気やケガがあった年は確定申告することで税金が戻ってくる可能性があります。最高で200万円まで控除できるので、医療費がかさんだ年は要チェックです。

寄附金控除とふるさと納税

ふるさと納税をしている人は多いと思いますが、6か所以上の自治体に寄附した場合はワンストップ特例が使えません。その場合は確定申告が必要になります。

赤い羽根募金などの寄附金も、確定申告をすることで控除を受けられるんです。

災害や盗難の被害には雑損控除

災害や盗難、横領などで資産に損害を受けた場合に使える控除です。地震や台風などで被害を受けた年は、確定申告をすることで税金の一部が還付される可能性があります。

これも年末調整では対応できないので、該当する人は忘れずに確定申告をしてください。

控除の種類をリストで確認

  • 年末調整でも確定申告でも使える:基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除
  • 確定申告でしか使えない:医療費控除、寄附金控除、雑損控除

これらをしっかりと確認して、ミスなく申告するようにしましょう。